第2話


「えー、前回の話から一週間経ってるわけですが」

「まだ2階すらおぼつきません」

「……原因は何だと思う?」

「資金が足りないのよ。前咲夜が言っていたようにこのチームは回復スキル持ちがいないから回復をメディカに頼るしかないんだけど、」

「敵が速いわ強いわで一回の戦闘につきメディカが1、2個必要なのに、その敵を倒した時の報酬がメディカ一個分にも満たないの。メディカはHPを50は回復してくれるんだけど、ある程度余裕を持って(HP減少が50を超えるより前に)使わないと次のターンでやられちゃう可能性があるから消耗が激しいんだよね」

「それで薬代をケチって『1、2回戦闘→宿屋で回復』を繰り返していたらあっという間に一週間」

「収支はほぼプラマイゼロよ。レベルは6になったけど、全然戦闘が楽にならないわ」

「お姉さま、このメンバーじゃやっぱりきついよ。なんとかしないと」

「……メンバーを変える気はないけど、資金なら考えがあるわ」

「どうやって?咲夜さんでもタコ部屋に送り込むの?」

「とりあえず私に任せておいて。今日から3日、休みを取るわ。その間に何とかなるはずだから」


3日経過……


「ウソだろ……おい」

「2775enとか……」

「お姉さま、どうやって!?」

「何、簡単な話よ」

「冒険者ギルドにいる適当な冒険者をわたしの美貌とカリスマで誘惑、隷従、そいつらに稼いでもらったわけよ。」

「えげつねぇ〜!!」

「回復役がいるから長く探索できるし、わたしたちにはいない採取スキル持ちがいるからさらに稼げるし、酒場で出ていたソードマン限定のクエストもクリア。いいことづくめよ(ってそいつらが言ってた。)」

「よかったですね、いい具合に大量の幼女スキーが捕まって」

「やめてよ美鈴さん、このお金が急に汚い物に見えてきたよ。」

「あんたら金使わせないわよ!でも、樹海を攻略するのはわたしたちだからね、奴らにはわたしより先に行かないよう、命令してあるわ」

「その人たちちょっと可哀想ね」

「冒険なんてマゾなことやってるから精神が病んだんでしょう。樹海で女っけがない生活を繰り返したせいで、こんな生意気そうなロリータに相手されただけで心が潤うような理想の低い男になっちまったんですね」

「あっはっはっはっは」

「笑うなぁ〜ッ!!」



一度探索して戻り、宿屋にて


「というわけで装備を揃えて薬を買って再出発したところ、2階のほとんど全てのマップを埋められたわ。」

「なんか急に楽になりましたね。装備ってのは大きいですね」

「それなんだけど、わたしとお姉さまが武器をダガーからネイルウィップに買い替えてから敵より先に動けるようになったの。おかげで憧れの『殺られる前に殺る』の形式ができて、薬をあんまり使わずに済むようになったよ」

「装備している武器って行動順番に結構影響をあたえるのねえ、試しにフランのAGIブーストをレベル2まで振ったんだけど全然効果がなかったわ」

「早く気づいていれば一週間も無駄にせずに済んだんだけどなあ」

「行動が遅いせいで2階にいた『毒吹きアゲハ』が特にきつかったわねえ。全体に毒を与えるんだけど、毒のダメージが半端ないわ。毒のステータス異常で1ターンにHPの半分やられるゲームなんて他にあるの?」

「下手すると一人倒れちゃうもんね、あいつは先手取らなきゃだめだよ」

「でもまだいろいろと問題は山積みなのよね〜」

「そっすね、例えばあたしのスキルで『採掘』したとき、たまに敵が先手を取って出てくるんですよね」

「あの無駄にデカくて臭い花無理だよ……一回殴られただけで死んじゃうし、全体に冷気はいてくるし」

「奴にあったら迷わず『全力逃走』ね。美鈴のおかげで生き延びられてるのよね、あたしたち」

「やめて下さいよ、照れるようなこと言うの」

「じゃあ文句を言うよ?」

「その考え方はおかしいです」

「何で美鈴さんの『挑発』で、美鈴さんがオトリになってくれているはずなのに、やたらとわたしに攻撃が飛んでくるわけ?」

「さー何ででしょうねえ、フラン様の血の気が多くて敵が本能的に『こいつは先に倒さないとヤバイ』とか判断してるんじゃないんですか?」

「そっちこそ、挑発してるフリしてわたしに仕向けてない?」

「滅相もないです。つーかやるとしたらレミリアお嬢様の方に仕向けますよ」

「まあそうだよね、ていうかお姉さまは戦闘中うるさいと思う」

「『わが名はレミリア・スカーレット!!わが鞭の餌食となるがいい!!』(笑)」

「『くっ、この痛みは100倍にして返してやる』(笑)」

「そのレミィだけどさっきから黙りこくっちゃってどうしたの?」

「ん、ん……え?あ?わたし!?いや別に……まあつまりわたしは最強だから何とかなるってことよ」

「……話についていけなかったんだ」

「……それでな〜んにも言えなかったのね〜」

「……お前はチルノか」

「フンガァ!!言いたいこと言いやがって!!」

「お菓子と紅茶をお持ちいたししましたよ」

「あ、ありがとう!!それで話を続けるけど、なんていうかお姉さまいいとこ無しだよね」

「ちょっとそれは言いすぎよぉ、フラン」

「立ってるだけのデクノボウですね」

「……あんたら……あんたら」

「お嬢様、わたくしはお嬢様が役立たずなどと思っていませんよ。装備が充実して今安心して冒険できるのもお嬢様のおかげでしょう?」

「そーよ、それにレミィがいなかったらあたし安心して後ろから術式を撃てないわ。あんまりレミィをいじめるのはやめてちょうだい」

「そう言われると弱いな……ごめんねお姉さま、でもあんまり調子に乗っちゃだめだよ」

「あたしも謝りますよ。少しは話についてきて下さいね」

「……頑張るわ」

「さてお嬢様、話がまとまった所で、今晩抱いていただけませんか?」

「またそのオチか!!」


次回へ続く


○戻る○