「さて、いよいよ樹海に挑むわけだけど」
「なんか入国試験をうけろとか言われたんだよね」
「なあに、わたしたちにかかれば楽勝よ。たがが地図を作るだけの作業でしょ?素人でもできるじゃない。」
「自信満々だね」
「面倒くさいなあ。早く落第して帰りましょうよ」
「あなたは人生を落第しろ」
「入って少し進んだら衛士さんがいて、ついてこいと言われました。」
「なに?案内してくれるの?自分で探索したいのに」
「あ、ちょっと!!歩みが速くて地図を描くのが間に合わないわ〜」
「これ犯罪ですよ。あたしら樹海の奥でなんかされるんじゃないんですか?」
「馬鹿を言うんじゃないの」
「えっと、ここから出口まで4人だけで帰るのが試験だって。あと地図も作れと」
「え〜いきなり遭難からはじまるの〜」
「これ落第=死じゃないですか。まんまとはめられましたよ」
「うろたえるんじゃない!大した距離は歩いてないし、ほとんど一本道だったわ。方角も大体分かっているし、何の問題もないわ」
(あ、お姉さまちょっと格好いい)
「そうね、レミィが言うなら間違いないわ」
「言ったからには責任とってくださいよ」
「ねえ、あそこにいるのって敵かな?」
「ちょうどいいわね、レミリア・スカーレット武勇伝の1ページ目を飾る戦いといきますか」
「なによここの敵は。一回の戦闘で体力半分持っていかれるとかありえないわ」
「普通体力の10分の1とかじゃないの〜?」
「あいつら早いですよ。特にあの針ネズミ、必ずこっちの先手をとってきますよ」
「衛士からメディカ5つをもらったけど、あらかじめ買っておいて正解だったわね〜」
「5つじゃ足りませんよこんなの」
「まったくもう、誰かさんが財布を忘れなければ十分に薬が買えたのに」
「お前だよ!!」
「おしゃべりしている暇はないよお姉さま!!敵だよ!!」
「はぐうぅっ!!」
「フラン!!」
「うっ……お姉さま……あと……」
「『後は任せた』ね!!大丈夫、必ず……」
「後でぶっ殺す……」
「そうくるか」
「あ、やった!出口よ、出口が見えてきたわ!!」
「え……?」
「……どうやら地図を完成させるまで帰してくれないみたいよ」
「ちょっと待ってよ!!フランが死にかけてるのよ!!それなのにあんたは試験を優先するっていうの!?」
「お嬢様?」
「フランにもしものことがあったらあんた責任とれるの!?いっとくけどわたしにかかればこんな植物頼りの小国なんてイチコロなんだからね!!今夜は月が紅いわよ!!」
「……レミィ、樹海ではね、冒険の途中に戦闘不能者が出ることなんて当たり前のことなのよ。これからもっと上へ行ったらこんなことしょっちゅうなんだから。仲間が傷ついたくらいでパニクってたら、冒険者になんてなれないの……きっとこの試験はそれを試すためのものよ。あきらめて地図を完成させましょ、ね?」
「……ふん、わかったわよ。確か行ってない脇道がいくつかあったわね……」
「くそっ、こんな時に!!」
「これまずいんじゃない?他の敵より強そうよ!今他に戦闘不能者が出たら本当に全滅しちゃうかも!」
「逃げるしかないわね……」
「逃げられるかしら……」
「美鈴!!咲夜が装備してくれたあれをつかって!!」
「咲夜さんが装備……?あッ!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!(なんかハイ)」
「スゴイ!!一発で逃げられたわ!!」
「あらあら、どうやらおいしい所を持っていかれた様ね。次はわたしの見せ場も用意しなさいよ?」
「言ってる場合じゃねええ!!てか逃げが見せ場とかあたしの人生それでいいのか?」
「仲間を逃がすのもヒーローの仕事よ〜。ひゅーひゅーカッコいい〜」
「うう……なんか微妙な気分だなあ」
「という訳で途中でわたしが倒れちゃったけど、なんとか合格することができました。」
「地図を埋めている途中にお花畑があって、そこの回復イベントでフランが復活したのは嬉しかったわ〜」
「まあその後あたしが倒れましたけどね」
「ふう、油断していたわ。1階からこんなピンチに見舞われるとは思ってなかったわ」
「怖くなって帰りたくなったりしませんか?」
「いや、ますますこのまま帰るわけにはいかないわね。フランの仇である世界樹……その謎はこのわたしが明かしてみせる」
「『世界樹がフランの仇』……面白いこというわね〜」
「どっちかっていうとわたしの仇って、お姉さまじゃないかな?」
「ですよねー、あんないきがっておいて結局あんまり役に立ってなかったじゃん」
「そうよね〜フランが倒れた時もあんなに泡くっちゃって」
「うっ……」
「お姉さま、わたしね、衛士さんに必死でほえているお姉さまを見てて、思ったことがあるの」
「フラン」
「あのときのお姉さまって……」
「……」
「必死杉wwwwクソワロタwwww」
「ブッ!!!」
「ほらほら、姉妹喧嘩はその位にして、今日はもう休みましょ」
「お帰りなさいませ皆さん。さぞかしお疲れでしょう。もしよろしければわたくしが抱いて差し上げますが」
「断る!!」